共感のある親子の対話

子供が話しやすい雰囲気を作る

子供がお母さんに向かって「ねえ、今日保育園(学校)でね」と話しかける時、これは子供に
とってとても重要で聞いてもらいたい話をしようとしている時かも知れません。

子供は親から離れ保育園に通い始める時や、入学、進級など環境が変化する時、またはテスト
や行事がある時、さまざまな不安を持ち通園、通学をしています。
また、友達や先生との関係でストレスを感じていることもあるでしょう。

子供が親と離れている時間に起きたことを親に話そうとするのは、わかってもらいたい思い
があったり、褒めてほしい、慰めてほしいという思いがあることが多いので、子供が家に
帰って来てから話すことに耳を傾けてあげましょう。

そのために、子供が家に帰ってくる時は話しかける余裕を保っておくことが大切です。
母親と言っても人間なので、悩みごとがある時や落ち込んでいる時があるかもしれませんが、
できる限り話しかけやすい精神状態でいることを心掛けて下さい。
普段から話をよく聴いてあげていると、どうしても聴けない時に子供は理解してくれます。

共感されることで心が強くなる

子供が親に話をしたい時は『共感してほしい』という思いを強く持っています。
共感とは、相手の話を聴いてその情景を思い浮かべることによって、相手が体験したこと、
体験から感じたことを聞き手が想像して、理解したということを伝える行為です。

人は話を聴いていると、どうしても相手の話を先回りして想像したり、自分の価値観で話
の内容を評価してしまうことによって、相手が何を言いたいのか、何をわかってほしいのか
を受け止められないということになってしまいます。

そうならないように『共感する』ということをテーマに子供の話を聴いてあげてほしいと
思います。
人は自分の話に共感してもらい、感情を受け止めてもらえたと感じると自分の持っている
思いに自信が持てるようになります。

子供の話を聴く時に、考え方や行おうとしている行動に関しては大人からアドバイスをして
修正を促すことも必要ですが、感情に関してはしっかりと受け止めて、子供がその感情を
持ったことを認めてあげることが大切です。

子供が自分の本心を大切にできる、それを上手に表現できるようになるのは、共感のある
親子の対話が必要なのです。

会話、対話の違いと相談

最後に会話と対話の違い、そして相談について説明しておきたいと思います。

会話というのは、2人または数人で、お互いに話したり聞いたりして、その場に出てきた
話題を進めることです。
会話の展開によっては、話の内容が変わることもあれば、話の主導権が移ることもあります。
話の内容は取り留めのないものであることが多いです。

対話は、1対1で相手としっかりと向かい合って、お互いの理解を深めるために本音で
話をすることです。
話の内容は重要なことが多く、その内容についてしっかりと話しこめるのが対話です。
話の主導権は、その都度お互いに移ることがあります。

最後に相談ですが、相談のベースは対話です。
話の内容が変わらないように話すこと、その中で本音で話ができることが重要です。
相談の場合は、話の主導権は相談者にあるべきです。
相談したい人のために相談を受ける側が共感し、理解を示し、アドバイスをすることが
相談です。

親子間のコミュニケーションでも会話、対話、相談の違いを意識していただくといい関係
が築けるのではないかと思います。