こんにちは。AXIAの阪田です。

前回の「介護スタッフのプライドが悩みを生むのです」と「介護業界の責任者の仕事って?」に続きまして今回は介護利用者の家族が感じる介護への思いを考えてみます。
利用者の家族の思いは色々な形で介護する者の耳に入ってきます。そのたびに皆が心揺れる事でしょう。
ただし、利用者家族の心の中は期待と諦め、葛藤で心の中は大揺れ状態です。
そんな気持ちを妥協という結論で納めてしまっている事も多いのではないですか。
そんな妥協の気持ちに焦点をあてて考えてみました。

妥協とは対立した事柄について、双方が譲り合って一致点を見いだし、穏やかに解決することを意味します。
しかしこの「譲り合う」気持ちが穏やかに解決ではなく「諦め」の心が重い現実に利用者の家族の苦しさが見えてきます。

利用者の家族が目の当たりにする妥協(諦め)と葛藤とは

利用者への妥協と葛藤

利用者の変化を受け入れられずに苦しんでおられる家族様の声をたくさん聞いてきました。
出る言葉は「なんで」「どうして」。
理解し受け入れるまでには時間を要するとともに、生まれる葛藤へのイラ立ちが利用者様に向いてしまうこともあります。
忘れないで頂きたい事は一人で抱え込まないで欲しいという事です。
自分の親の事だからと利用者の気持ちを優先して自分自身の気持ちを後回しする傾向があります。
利用者のために家族様自身が心穏やかになる方法を優先するべきだと考えます。

介護従事者への妥協と疑問

家族様から実際に指摘された事も踏まえた上で考えてみます。
●統一された介護サービスへの満足度
介護とは介護保険が大きな支えとなっています。介護保険とは40歳になった時点から加入が義務付けられた、国民から徴収されたお金です。
したがってむやみに使えるお金ではないことから、サービス内容が細かく決まっています。
家族様からすると利用者様の今までの生活に準じた形でのサービスを望まれるかとは思いますが、介護サービスには背景がある事を理解しなければならないのです。
しかしこの背景を理解していたとしても、心の中で葛藤がこみあげてくる事は仕方のない事です。
そのような思いを介護従事者とのコミュニケーションの中で吐き出してもらいたいと思います。

●利用者様に対するケアへの満足度
介護サービスの内容は日常の生活を送るための手助けです。
利用者の状態に応じたサービスが提供されます。
しかしあくまで「手助け」という事なんです。
過剰な手助けは介護従事者はしてはダメなんです。
介護従事者はQOL(生活の質)に焦点を当てたケアをしています。
「出来る事はしてもらう、出来そうな事は頑張ってもらう」です。
決して手を抜いているわけではないのです。
このように言葉に表すと家族様も理解できるかと思いますが、実際目の当たりにした時は心の中はきっとざわめくでしょう。
このざわめいた心は家族様が抱え込む必要はなく、その都度言葉にしていただきたいと思います。

介護について理解が深まりつつ昨今は、利用者の家族も前述の内容をご存知の方も増えつつあります。
しかし、理解しながらも生まれる矛盾や葛藤、そして諦めの気持ちは抑え込む事はできません。
「吐き出す場所」の確保こそ、利用者様と健全に向き合う事ができる最善の方法だと言えるのではないでしょうか。