カウンセリングと親子関係の悩み

カウンセリングでは、大人になってからも親子関係で悩んでいるという相談はたくさんありますが、その中には『親を好きになれない、大切にできない』ということで悩んでいる人が来られることがあります。

実は、カウンセリングでは、どちらかと自分の子供のころの親とのエピソードを思い出して、その中での感情体験が悩みになっているというケースの親子関係の悩み相談が多いのですが、時折「大人になっても親のことを大切にできない。大切にしなければと思っても感情が伴わない」と言って悩んでいる人からの相談があります。

アダルトチルドレンと性格

大人になっても親子関係で悩んでいる人の中には、アダルトチルドレンであるという方がたくさんおられます。
アダルトチルドレンとは、子供のころに親から適切に愛情を与えてもらえなかった人であり、その影響が大人のなってからの精神状態や人間関係にも生じていることもあります。

実は、『親を好きになれない、大切にできない』という悩みを抱えている人は、アダルトチルドレンである場合が多いのです。
子供の頃のことを思い出自体が悩みとなっている人もアダルトチルドレンですが、大人になってから親を大切に思えないという悩みを抱えた方も、子供のころに親から適切な愛情を受けることができなかったことが影響しているのです。

子供の頃のことを思い出自体が悩みとなる人と、親を大切に思えないということが悩みになる人の違いは性格にあります。
前者は、人から世話を焼いてほしい、人から評価を受けたいという思いが強めの性格で、後者は、人の世話を焼くこと、人を見守る、助けるということが喜びになる性格の人です。

根っから、人の世話を焼くことが好き、自分の力で人を援助することが好き、温かい目で人を見守ることに幸せを感じるという人が、どうしても親に対してはそういう思いを持つことができないということで、心の中に葛藤が生まれて悩みになるのです。

罪悪感を脇に置いて親子関係を見つめ直す

本当は、人の世話を焼く、自分の力で人を援助する、温かい目で見守るということが、自分の満足感にもなるけど、年を取った親に対してはそれをすることに抵抗があることで、自分は親不孝な人間なのではないかと思ってしまうことも多いようです。

別の言い方をすると、人に愛を与えることが尊いという価値観を持っているのに、親に対してはそれができない自分は、本当は冷たい、薄情な人間なのかもしれない、と思ってしまうようです。

カウンセリングでは、そのような方の話も聴かせていただくのですが、『親を好きになれない、大切にできない』という悩みを持っている方は、まずは現在の自分が親に持っている思い、それから生まれる罪悪感を脇に置いて、自分と親の関係を見つめ直す環境を提供しています。

親子関係は、物心つく前から始まっているので、その中にあるエピソードは多く、親子の感情交流も複雑です。
親子関係の歴史と現在の心境を、良いか悪いかの二極的な見方で整理することは難しいのです。

カウンセラーに話を聴いてもらいながら、現在の自分の思いを受け止めつつ、親との距離感、付き合い方について決断をしていただければと思っています。