自尊心と全能感

子育てで重要なことは、子供の自尊心を育ててあげることです。
これは、忍耐力を高めることと含め、幼少期の心の成長として重要なポイントです。

自尊心を育てるというと、『褒めて伸ばす』ということを思いつく人も多いと思いますが、
そう単純ではありません。
人間の心には、全能感というものがあるのですが、全能感をどう刺激するかが自尊心を
育てる上で工夫すべき点です。

全能感とは

全能感とは、人間の心の成長においてとても重要なもので、親子関係でどう刺激するかが、
成長していく過程での自尊心の形成に影響します。
例えば、極端に自身の無い人になったり、非現実的な自信を持ってしまう人になったり
するのも全能感と親子関係が関係しています。

全能感というのは、簡単にいうと『自分は何でもできるんだ』という感覚のことです。
社会の中で生きていくには、『自分ならできるかもしれない』 という思いと、正しく自分
の能力や現状を把握して、その中で適切な行動を選んでいく力が必要ですが、『自分は、
何をやっても駄目なんだ』 という思いが強い人、能力もそれに必要な条件もそろっていない
のに、『自分だったら何でもできる』という考えで行動する人も社会の中で生きていくこと
に窮屈な思いをします。

子供が大人になった時にそういう思いをしないようにも、子育てで全能感を上手く刺激して
自尊心を育むことが必要なのです。

自尊心を育てる関わり方

自尊心を高めるには、親子関係で下記のようなメッセージを子供に伝えることが大切です。
『あなたは、何かに取り組めば、いろんな良い事、嬉しい事を引き起こせる力があるんだよ』
ということと『今のあなたは、できない事もあるけど、大人になるまでに努力していくと、
できるようになるんだよ』という、相反するメッセージを7歳~10歳の時期に伝えること
が理想的です。

それは、子供との関わり合いの中でいろんな場面で実行することが出来ます。
例えば、親が子供とオセロをするなら、親が子供にわざと負けるのではなく、まずは子供
に親がしっかり勝って下さい。
最初は勝てるのですが、子供が上達してくると負けてしまうと思うので、その時は努力
すれば勝てるようになるということを伝えてあげて下さい。
このようなやり取りは、何かに挑戦した時に最初は上手くいかなくても、工夫や努力に
よって課題を乗り越えられるという意識を与えるために必要なのです。

自尊心は、自分はやればできるという感覚と壁にぶつかっても努力で乗り越えられる
という感覚を共存している心理です。
自分の能力を過信して何でもできると思っているだけでも、自分は何をやっても駄目だ
と思っているだけでも、親子関係で全能感に偏った刺激を受けて育った可能性があります。

全能感を刺激して自尊心を育てるには、親が遊びなどを通じてしっかりと子供にとって
乗り越えるべき存在になってあげること、そして上手の乗り越えさせてその努力を評価
してあげるということを実践して下さい。